円債金利が急低下、日銀指針は10年-0.3%への「免罪符」か-[東京 1日 ロイター]

円債金利が急低下している。

米中通商協議への不安や米景気指標下振れへの警戒から世界的にリスク回避ムードが強まったことが背景だが、日銀によるイールド・カーブのスティープ化策に対する警戒感の後退も要因だ。

新しいフォワード・ガイダンス(金融政策の先行きを示す指針)という「免罪符」を手に入れ、長期金利がマイナス0.3%に再び向かうとの見方も出てきている。

日銀決定会合で31日に決定されたフォワード・ガイダンスでは「政策金利については、『物価安定の目標』に向けたモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」との表現になった。

市場が注目したのは「長期金利」についても言及されたことだ。

短期金利だけでなく、長期金利も現在または、それ以下の水準で推移する、と読めるため、現在ゼロ%程度となっている長期金利目標についても、将来引き下げられる可能性が出てきたと受け止められた。

「日銀がスティープ化を狙おうとするなら、マイナス金利を深掘りする一方で、超長期金利に影響を与える長期金利を維持させる方が効果的だ。しかし、新しいガイダンスでは、そうした制約を設けなかった」と、大和証券・金融市場調査部チーフ・ストラテジストの谷栄一郎氏は指摘する。

市場はこれまで、日銀によるイールドカーブのスティープ化誘導策を警戒してきた。

超長期金利は下がり過ぎとの黒田総裁の発言や、度重なる国債買い入れオペのオファー額減額で、超長期金利は9月以降上昇してきた。

その警戒感がいったん後退したことで、1日の円債市場では、超長期ゾーンを中心に大きく金利が低下している。

黒田総裁自身も、超長期金利低下への警戒モードを少し弱めたのではないか、との見方が市場では出ている。

31日の日銀決定会合後の会見で、黒田総裁は、利下げの可能性を含ませた新しいフォワード・ガイダンスの導入が超長期金利の低下を招く懸念はないかと問われ、「これによって超長期金利が下がるとは思っていないが、仮にイールドカーブがフラット化する状況があり得るとすれば、超長期国債の買い入れをさらに減額するとか、いろいろな方法があり得る」と語った。

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しかし、市場では「最後の最後の質問に答えたかたちで、超長期金利低下のマイナス面を強調したい感じではなかった」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア債券ストラテジスト、稲留克俊氏)として、「むしろ10年ゾーンの買い材料」(同氏)との受け止めが出ている。

日銀が1日に通告した長期債対象の買い入れオペはオファー額が据え置かれた。

据え置きは市場予想通りだったが、円債金利が急低下する中での据え置きに、「金利引き上げに対する警戒感が一段と後退した」(国内証券)という。

現在の日銀の金融政策は、長短金利操作付き量的・質的金融緩和。

政策金利には長期金利も含まれているため、フォワード・ガイダンスで「長短金利」としたことに特別な意味はない可能性もある。

しかし市場では、「長期金利が下がれば、超長期金利も下がる。フォワード・ガイダンスで長期金利に言及すれば、超長期金利も下がると日銀もわかっていたはず。そこには意図的なものを感じる」(別の国内証券)と、深読みする声も少なくない。

現時点で、長期金利引き下げを含む追加緩和期待が市場で高まっているわけではない。

「円高が進まなければ、日銀は何もやらないし、何もできない」(外資系証券)との見方が増えている。しかし、円債市場では、日銀のスティープ化策への警戒感が強かった分、警戒感が少し薄らいだだけでもインパクトが大きくなる。

長期金利は9月4日にマイナス0.295%まで低下したが、過去最低水準のマイナス0.3%には届かず、その後反転上昇した。日銀のスティープ化策への警戒が一因だっただけに「今後、マイナス0.3%近辺に低下する局面が来ても、利下げ期待という解釈により正当化される」(大和証券の谷氏)との見方も出てきている。

ドルは108円付近、一時3週間ぶり安値

正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点(108.02/05円)とほぼ同水準の108.04/06円。

仲値にかけて108.05円まで上昇したものの、仲値通過後には107.89円まで下値を切り下げ、10月11日以来3週間ぶりの安値をつけた。値動きの背景には実需の売買があるとみられる。

東京市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合の結果の消化などで「前日からの疲労が残っている」(証券会社)とされ、実需の動き以外のフローは低迷した。

FOMC後のドル安のドライバー(推進役)となっている米長期金利は午前の取引で若干持ち直したものの、FOMC前の水準には戻っていない。

正午時点の米10年国債利回りUS10YT=RRは1.6945%付近。前日ニューヨーク市場終盤は1.6910%だった。FOMCの1日目に当たる29日には1.860%を付けていた。

財新マーク一イットによる10月の中国製造業PMIは51.7と2017年2月に並ぶ高水準となった。9月は51.4だった。市場は反応薄。

ドル円

参考サイト


金融庁

経済産業省

財務省