上海外為市場=人民元10年ぶり安値更新

貿易戦争巡る懸念が重し

上海外国為替市場の人民元相場は、対ドルで10年ぶり安値を更新。国内経済減速や米中貿易戦争の激化への懸念が重しとなっている。

人民元は心理的に重要な節目となる1ドル=7元に近づいている。

7元台に載せれば、2008年の金融危機以降で初めてとなる。
このところの下落を受け、中国当局がこの節目を防衛するかどうか、また防衛した場合はどの程度行われるかに市場の焦点はシフトしている。

中国人民銀行(中央銀行)はこの日の基準値(中間値)を、2008年5月21日以来の元安水準となる1ドル=6.9574元に設定した。

前日基準値の6.9377元に比べ197ポイント(0.28%)の元安設定。
ロイターのまとめた市場予想の6.9487元よりも87ポイント元安寄りに傾いた。

ブルームバーグの報道によると、米政府は11月に予定する米中首脳会談で貿易摩擦解消に向けた進展がみられなければ、12月初旬までに中国製品に対し新たな追加関税を発動する用意を整えている。

コメルツ銀行(シンガポール)の新興国市場部門シニアエコノミスト、周浩氏は「米国が新たな関税をちらつかせているとのニュースは市場心理の重しとなっている」とした上で、「(米中首脳)会談の『失敗』をどのように定義するのかは分からない」と指摘。

「市場は人民銀のボトムラインを試しているだけで、人民銀はまだ受動的に元を防衛している」と述べた。

同氏は、中国当局が1ドル=7元付近、またはこれより元高の水準で、元を維持するとの見方を示した。

国内スポット市場の元は6.9600元で始まった後、序盤の取引で一時、2008年5月20日以来の安値となる6.9724元を付けた。

中盤のレートは6.9688元と、前日終値比で68ポイントの元安、基準値比で0.16%の元安。

複数の市場筋はロイターに対し、中国の大手国有銀行が午前の取引で人民元をドルにスワップする取引を実施したもようだと明らかにしたが、スポット市場では、銀行がスワップ取引で得たドルを売る動きは確認されなかった。

 

米GDP、第3四半期は3.5%増 勢い鈍化

米商務省が26日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で前期比3.5%増と、市場予想の3.3%増を上回った。

輸入関税の導入に伴い大豆輸出が減少したものの、個人消費が4年近くぶりの大幅な伸びとなったほか、在庫投資が大幅に増え、政府支出も底堅かった。

第2・四半期GDPは4.2%増だった。

第3・四半期は前期から減速したものの、エコノミストが試算する潜在成長率である2%を超えた。

米経済成長は9年連続で続いており、これまでで2番目に長い景気拡大局面となっている。

第3・四半期の前年同期比は3.0%増と、2015年第2・四半期以来の大幅な伸びだった。

トランプ政権が掲げる今年の成長率目標である3.0%増を達成できる見込みだ。

設備投資が振るわず、住宅投資は3四半期連続でマイナスを記録した。

1兆5000億ドル規模の減税政策に伴う押し上げ効果が薄れつつあるほか、金利上昇が住宅市場を圧迫する兆候もみられた。

中国との貿易紛争やその他の貿易相手国と摩擦がリスクとなっている。

第3・四半期に経済が減速した理由は主に、大豆などの米製品に中国が報復関税を課したこととみられる。

米農家は、7月上旬に中国による輸入制限が発効する前に対中国輸出を前倒しし、第2・四半期GDPを押し上げた。

それ以降、大豆輸出は毎月減っており、貿易赤字が拡大している。

第3・四半期は石油のほか、自動車以外の資本財の輸出も減少した。一方で底堅い国内需要に伴い、消費財や自動車などの輸入が増えた。

貿易赤字はGDPを1.78%ポイント押し下げる方向に働いた。

押し下げ幅としては1985年第2・四半期以来で最大。第2・四半期は1.22%ポイント押し上げる方向に働いていた。

中国の材などへの米輸入関税発動前に企業が在庫積み増しを急いだことも、輸入持ち直しの背景にあるとみられている。

在庫は763億ドル増加した。

第2・四半期は368億ドル減少していた。

結果として、第3・四半期は在庫投資はGDPを2.07%ポイント押し上げる方向に働いた。15年第1・四半期以来の大幅な押し上げ幅だ。

前期はGDPを1.1%ポイント押し下げていた。

JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「貿易政策も純輸出・在庫動向を大きく左右した可能性がある」と指摘。

「こうした動きは第4・四半期にかけて続く公算もある」と話した。

貿易と在庫を除くGDPは3.1%増だった。第2・四半期は4.0%増加していた。

第3・四半期に底堅く成長したことで、12月の米追加利上げ観測が根強く残るとみられている。

連邦準備理事会(FRB)が物価の目安とする、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数の上昇率は1.6%、前四半期は2.1%だった。.

企業設備投資の増加率は0.4%と、2年ぶりの低水準にとどまった。前四半期は4.6%だった。

適切な人材が見つからない状況と輸入関税の影響で、製造業企業にとって費用負担が増えている。

住宅市場の縮小ペースが1年強ぶりの大きさとなったことも、景気見通しの圧迫要因だ。