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潜在的崩壊リスク…危機はいつ

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今の金融市場は1990年代後半に似ている

10月に入り、株価が乱高下して金融市場は不安定な状態にある。

FRB(米国連邦準備制度理事会)が利上げを続け、長く続いた流動性相場は終わりを告げようとしている。トランプの貿易戦争など不安材料が山積する中、個人投資家は来るべき大きな調整局面にどう備えるべきか。

GCIアセット・マネジメントの創業者でCEOの山内英貴氏に話を聞いた。

同社は日本のヘッジファンド運用会社で、個人投資家向けにエンダウメント(大学財団)型の投資戦略を活用した公募投信を設定している。山内氏は過去の金融危機の経験から、リーマンショックを予見していた数少ない運用担当者の一人。

以前にも、「迫り来る「メガトン級の巨大危機」に備えよ」「大暴落に備えて個人投資家が身を守る方法」で流動性相場の構造と終焉に備えて個人が取れる対策を語っている。

――10月に入って世界の株式市場が大幅に下げるなど、金融市場が動揺しています。

リーマンショック以降の、中国も含む主要国政府の財政出動による経済へのてこ入れと、中央銀行の長く続いた金融緩和によって、これまでの大相場は支えられてきた。いつ終わってもおかしくない。大きなバブルが醸成されており、潜在的に崩壊のリスクがあるのは間違いない。

2015年夏の人民元切り下げによるチャイナショックでその兆候が出たが、中国が厳格な管理を強引に行って、結果的にうまく抑え込んだ。

しかし、問題を先送りしただけだ。

■何を買っても儲かった「黄金時代」の終わり

これまでは運用の黄金時代が続いてきた。

1992年~2018年8月末までアメリカでドルを持っている投資家が、アメリカ株3:アメリカ債券7、あるいはアメリカ株7:アメリカ債券3というポートフォリオでパッシブな運用を維持したときに、どのような運用実績を上げられたのかを試算してみた。

どちらも上昇しているが、特筆すべきは、リーマン以降だ。

シャープレシオを見ると、債券中心のほうでリーマン前が0.52に対し、リーマン後が1.24と、リスクに対するリターンが2.5倍になっている

株中心だとリーマン前が0.23で、リーマン後が1.02の4.4倍。リーマン以降の10年間はボラティリティ(変動率)も低く、非常に安定していて、株、債券、そのほかのリスク資産、何を買っても持ち続ければ儲かった。

日本の投資家が円を持っていて国内株、国内債券、外国株、外国債券に資産を4等分にして投資した場合のシミュレーションではどうか。

2001年1月末~2012年10月末はシャープレシオが0.03だったが、2012年12月以降、アベノミクス開始後は円安が進み、シャープレシオが1.43に上昇している。

こうしたバランス型のファンドでシャープレシオが通常1を超えることはありえない。

流動性相場は行きつくところまできた。イールドカーブはフラット化(長短金利差が縮小)して、クレジットスプレッド(信用リスクに応じた利ザヤ)も潰れてしまった。

さらに、流動性の低いプライベートエクイティや実物資産、CAT債(自然災害のリスクを取る債券)などにもお金が流れて、理屈上は存在するはずの流動性プレミアム(現金化にコストがかかることに応じた超過収益)も消失してしまった。

運用担当者は何とかリターンを上げなければならず、血眼になって投資先を探しているので、2017年には仕組債などを通じて株式市場のボラティリティ(変動率)も売られて、オプションの売りによって、オプションのプレミアムをキャリーとして取ることまで行われた。

今年の2月には長期金利の上昇によって、こうしたポジションに調整が入り、一時的にボラティリティが高まったが、その後、また同様の投資が復活している。待機資金は山ほどあるからだ。

ありとあらゆるリターンの源泉は食い潰された

■巻き戻しの途中ではアメリカに資金が集中する

政府と中央銀行が経済拡張のために結託することは、かつてはやってはいけないこととされていた。

インフレの高進やバブルの崩壊などの形で大きなしっぺ返しが来るという過去の経験から、中央銀行の独立性が確立されてきた。

しかし、リーマンショック後は大きな落ち込みから、なんとか、景気を支えて、金融システムを安定化し、委縮していた民間企業や投資家にリスクを取ることを促そうという方向で政策目標が一致した。

日本では日本銀行が国債のみならず株まで購入しているが、かつて、ここまで政府と同じ方向を目指したことはなかった。

だが、すでにFRB(米国連邦準備制度理事会)が利上げを着々と実施して、正常化に向かっており、そのインパクトは大きい。

ECB(欧州中央銀行)も続いて出口に進んでいる。

日本銀行もいつまでも日本株を買い続けてニッポン株式会社の大株主としてどんどん大きくなるというわけにはいかない。

FRBもクラッシュを起こさないように慎重に進めると思うが、さまざまな市場に歪み(ゆがみ)が生じているので、今年の2月や今月のような動揺は起きやすくなっている。

■1995年~98年の状況に似ている

――「リーマンショックから10年」といわれますが、過去のバブルとその崩壊に比べると、どのパターンに似ていますか。

過去のいくつかのバブルの生成と崩壊の局面で見ると、1995年~98年の状態に似ている。

このころも日米貿易摩擦が起きて、日米包括経済協議の下で円高が進んで、1995年には瞬間1ドル=80円割れになるほどの円高となっていた。

その後、米国が金融の引き締め、強いドル政策に転じ、ドル金利だけが上昇して米国の経済は絶好調といわれた。日本では当時の榊原英資財務官が円売り介入して、一気に円安に進んだ。

1ドル=80円から1998年には1ドル=147円まで進んだ。

ところが、1997年にはこの流れがアジア通貨危機につながり、1998年には日本ではバブルが崩壊し、LTCMが破綻して一気に金融危機になっていく。今は、当時の1997~98年の長く続いた安定期から危機に移行していく時期と同じような状況に差し掛かっているのではないか。

――金融規制によってリーマンショックの前ほど民間債務の積み上がりがなく、バブルではないという人もいます。

確実にバブルはある。

先進国の国債バブルであり、それを支えている中央銀行のバランスシート拡大バブル、中国の不動産など固定資本形成のバブルだ。

――政府債務は管理可能だという主張もよく聞かれます。中国は資本規制が可能なので大丈夫だと期待する人もいます。

管理はしやすいが、永続はできない。

政府債務や中央銀行の金融緩和政策にも限界がある。各国の当局者も市場参加者もそれを認識しているので、現に撤退は始まっている。

撤退でベクトルは屈曲するので、市場にとっては、たちまちガス欠状態になる。

中国だけは認識が異なるかもしれない。

中国当局は非常に自信を持っていて、よく中国の投資家と話をすると「なぜかつての日本はバブルを崩壊させたのか」という質問を受ける。

かなり日本のバブル生成と崩壊を研究していることは確かだが、「バブルを管理して崩壊させない」ことは可能だと思っているようだ。

しかし、中国であっても、延命させればさせるほど制御は難しくなってくる。

2000年以降の中国経済の伸びを支えたものは、公的部門による投資なので、かつての日本のように、ふたを開けてみたら不良資産が積み上がっているおそれがある。

――何度か調整がありましたが、危機はいつ来るのでしょうか。

政策当局も、さまざまに手を打つので、そればかりはわからない。

また、バブルが大きいほどはじけるのに時間がかかる。

リーマンショックの時にもサブプライム住宅ローンの専門会社が潰れ始めたのは2006年の暮れで、2007年3月のベアスターンズ、8月のパリバショック、2008年9月のリーマンショックまで2年近くかかっている。

現在は、「実体経済は絶好調で、インフレにもならないし、企業業績も好調である。それを牽引しているのはデジタル革命で、世の中が大きく変わる産業革命のようなイノベーションが起きているから、株は上がるのだ」という説明がよくなされている。

しかし、バブルが醸成されるときには、いつもそういうストーリーが語られる。

むしろ実体経済は後からついてくる

企業業績が悪くなってきたから株が売られるのではなく、市場が先に動いて、実体経済が減速し、企業のマインドや消費活動が後退していく。マーケットは実体経済の先行指標であると思う。

個人投資家の方にお勧めしたいのは、パッシブ運用だけだと、一気に皆が売る、調整局面で大きなドローダウン(最大資産からの下落率)が来る可能性があるので、現在のポジションを見直すこと。

ここまで持ってこられた方は、利が乗っていると思うので、一部は利食い、リスクを減らしておくことも選択肢だ。

長期資産形成でいちばんのNGは売ってはいけないときに、売らされることだ。リスクシナリオが顕在化したときに、耐えられなくなってその時点で売るのは最悪。

我慢できれば、リバウンドは必ず来るのに、リスクに耐えきれず売ってしまうと試合終了だ。

変な商品を買わされていない限り、納得して買ったものは厳しい局面でも持ち続けること、ドン底で売らされないことが大切だ。

最後に、数字のマジックには注意したい。

株価が50%下げた場合、元に戻るには50%ではなくて100%上昇しなければならない。たとえば100万円のものが50万円になったら、50%上げても75万にしかならず、取り返すには株価が100%上昇しなければならない。

大きなドローダウンはダメージが大きいということを念頭に、株の比率が大きすぎると感じる場合は、ほかの資産などに分散しておきたい。

東洋経済オンライン / 2018年10月22日

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