来週は円高地合い、中国の景気減速やトルコ懸念

来週の外為市場では、中国経済の減速やトルコ情勢、そのほかの新興国通貨の動向に注目が集まる。

これらが悪化すればリスク回避の円買いが再燃しそうだ。

イタリアの財政やユーロ圏金融機関のトルコへのエクスポージャーに関する懸念もあり、ユーロ売りがクロス円に広がれば円高を通じてドル/円の重しになる可能性もある。

[東京 17日 ロイター]より

 

 

予想レンジはドル/円が109.50━112.00円、ユーロ/ドルが1.1250―1.1500ドル。

トルコリラ/円は目下19円付近だが、13日には15.25円付近と過去最安値を付けた。

トルコ市場は20日以外は休場となるため、流動性が低下しボラティリティー上昇の余地がある。

米格付け会社S&Pは17日にトルコのソブリン格付けを発表する予定だ。

 

「市場の関心はトルコリラと中国市場の動向に注がれている。米国とトルコの関係は冷え込んでおり、トルコから他の新興国通貨へ危機の伝染も心配される。また、景気減速懸念から中国株や人民元の下げが拡大すれば、リスク回避が再燃し、円高圧力が強まるだろう」とトウキョウフォレックス上田ハーロー・営業推進室長の阪井勇蔵氏は言う。

最近の人民元の下落を先導したオフショア人民元CNH=D3は15日に1ドル=6.9587元まで下落。

中国人民銀行は流動性を引き締め、売り持ちコストを引き上げるべく、オフショア人民元の預金と貸し出しで一部の銀行間取引口座の使用を禁止した。

一方、6月以降中断していた米中通商協議が22―23日の日程で開かれるが、米国は23日に160億ドル分の中国製品を対象にした制裁関税の発動を予定しており、週後半の市場はリスクに敏感になりそうだ。

米中貿易摩擦が両国の景気に影を落とし始めた。

米フィラデルフィア連銀の8月新規受注指数は2016年9月以来の低水準となった。
関税適用を回避するため早急に出荷する必要のある製品が同地区に集中し、輸出が前倒しに行われた結果とみられる。

中国の1―7月の固定資産投資は1996年以降最低の伸び率となった。

中国政府は「固定資産投資計画」を打ち出しているが、上海株価総合指数は16日に2016年3月以来の安値を付けるなど、景気に対する市場の目線は下向きだ。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はワイオミング州ジャクソンホールで開かれる経済シンポジウムで24日に講演する予定。

超緩和時代の終焉、市場が迎える中銀流動性の「転換点」

世界の金融市場を長らく満たしてきた中央銀行の流動性は、間もなく「引き潮」に転じる。

中銀が大規模緩和姿勢が終わった際に市場はどんな反応をするか、さんざん議論してきた投資家にとっても、情勢変化に順応するための猶予期間は、わずか数カ月程度になった。

米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)という世界の4大中銀は、2009年の金融危機以降、世界経済に約13兆ドルの資金を流し込んできた。

しかし来年は2011年以来初めて、世界全体で資金供給額よりも吸収額の方が多くなるのだ。

ECBは年末に新規の債券買い入れを停止する。

もうほぼ1年にわたってバランスシート縮小を進めてきたFRBも10月からは縮小ペースを加速させ、来年バランスシートから外す債券は4700億ドル相当に上る。

過去10年近く紙幣増発とゼロ金利が続いてきただけに、こうした変化は市場にとっても重大な意味を持つ。

金融市場には既に亀裂が見え始め、トルコ通貨危機や米中両国の貿易摩擦によって緊迫化している。

新興国株は1月から20%も値下がりし、MSCIの世界株指数は月間ベースで3月以来の落ち込みを記録する流れだ。投資適格未満のドル建て社債の平均利回りは今年になって50ベーシスポイント(bp)上がった。

米国株は堅調な企業業績に支えられているとはいえ、S&P総合500種のオプション取引でコール(買う権利)に対するプット(売る権利)の需要度合いを示す「スキュー指数」からは、不安感の高まりがうかがえる。

同指数は3月以降で最も高い水準にあり、つまりはプットの引き合いの強さを物語る。

新興国、とりわけ外国投資家を頼りにしているトルコや南アフリカは、流動性への依存度が高い。

先進国でもイタリアはECBの緩和の恩恵を大いに享受していたので、流動性吸収が債券市場に打撃を与えた場合に受ける痛みもまた激しい。

ブラックロックのグローバル債券最高投資責任者リック・リーダー氏は「世界の流動性プールを先回り的に減らすのは、世界経済に広く有害な影響を及ぼす危険がある。イタリアにおけるここ数カ月の出来事は、そうした経緯を浮き彫りにしている」と警告した。

また流動性吸収は中銀に限った話ではない。

米国の税制改革が同国企業による資金の本国還流を促し、今年第1・四半期には世界各地から米国に3000億ドルが戻された

もっとも流動性減少はなおゆっくりしたペースが続くかもしれない。

日銀は最近、緩和の枠組み強化を狙った措置を打ち出し、出口への道筋を示すのではないかとの期待に水を差した。

そのFRB自体でさえ、貿易摩擦や新興国市場の動揺を理由に引き締めのスピードをもっと緩める可能性がある。