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【株式】短期利食いのチャンス到来、中長期は調整へ

   


米国株も日本株も足元で下げてきている。

年末までの相場はどうなるのか。
本格的な下げにつながるのか。

ファンダメンタルズから世界の各種マーケット、国際情勢を踏まえて語る論客として人気の三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長の藤戸則弘氏に話を聞いた。(東洋経済オンライン / 2017年8月25日)

――足元で日本も米国も株価はずるずる下げてきています。
どのような背景があるのでしょうか。

今までウォールストリートは、アメリカ政治の混乱にまったく反応してこなかった。

トランプ大統領が当選した2016年11月以来、株価の上昇は続いて、8月2日にダウは2万2000ドルをつけている。

4月以降、トランプ政権の混迷ぶりは目立ってきたにもかかわらず、史上最高値を更新してきた。

トランプ大統領のキャラクターが「ヘンなことを言う人」であっても、ゲイリー・コーン国家経済会議委員長とスティーブン・ムニューシン財務長官の二人ともにゴールドマン・サックス出身者ということで、市場は期待していた。

経済政策はこうした人たちがしっかりやってくれるだろうという認識がベースにあったと思う。
また、企業収益がシッカリしているということもある。

 

■トランプ大統領の失態で経済運営にも不安高まる

ところが、先日のバージニア州シャーロッツビルの事件でレッドラインを超えてしまったといえる。

事件はKKK(クー・クラックス・クラン)がリー将軍の銅像撤去に反対する集会を開き、これに反対するリベラル派と騒動になったものだが、この際に、トランプ大統領は「双方に責任がある」として、KKKやネオナチを明瞭に批判しなかった。

米国は移民大国であり、人種の平等で成り立つ国。
名指しで批判するのが政治的に正しい行動だ。

ところが、トランプ大統領はオルトライト(極右的な思想)や貧しい白人層の支持で大統領に選ばれており、本音が出てしまった。

コーン氏やムニューシン氏はユダヤ人だ。
コーン氏は今回のトランプ大統領の発言に対し、ニューヨークタイムズ紙で「嫌悪感を覚える」としたため、辞任するのではないかという騒動になった。

ムニューシン氏も友人たちから辞任を勧められているという報道があり、今後もトランプ大統領のこうした発言が続けば、彼らも辞任してしまい、経済運営が怪しくなるのではないかという観測が広がった。

一方で、民主党はトランプ大統領の弾劾手続きに着手すると、発表している。
下院は過半数、上院は3分の2の賛成が必要であることを考えれば、上院の可決はあり得ないが、下院はわからない。

いずれにしても、夏期休暇明けの議会がすぐに大幅減税策や9月末に迫る債務上限の引き上げに取り組むことができずに、弾劾問題で紛糾する可能性がある。
景気刺激策はいつになるかわからない状況だ。

アメリカでは2010年以来、7年以上景気拡大が続いている。

循環からいっても、そろそろ下降する流れになる。
景気の遅行指標である雇用がこれだけ良くなっていることを考えれば、年内は大丈夫でも、来年、再来年を見たときにはアメリカの経済成長が鈍化するシナリオが出てきた。

その中で、経済政策が重要になってくるのに、混乱するのみで何も成立していない。そこにマーケットが反応しはじめた。

■8月、9月は下げ相場というアノマリー

1945年以降、ニューヨーク株式市場の月間騰落率は9月が一番良くない。
過去には9.11やリーマンショックもあったが、11月にヘッジファンドの決算を控えて、9月には利益確定売りやファンドのリバランスをすることが多いからだ。
だが、このことを皆が知るようになったので、最近の傾向ではさらに前倒しして、8月から売りを始める傾向がある。

2010年以降の7年間で、8月のNYダウの月間騰落率が上昇したのは2年しかない。
残りの5年は下落している。
これに加えて、トランプ大統領の人種偏見問題や北朝鮮リスクが高まったことにより、ウォールストリートはナーバスになっている。
母国のマーケットが悪くなると、海外投資にも消極的になるので、彼らは日本株も売っている。

日本市場の8月を見ると、外国人投資家は7年連続で売り越しになっており、売りの特異なアノマリーが存在する。
今年も7月第3週から8月第2週の4週間で現物、先物を合わせると1兆2222億円の売り越しになっている。

――北朝鮮のリスクも高まっています。

北朝鮮問題について、スケジュールを見ると、8月25日は「先軍節」という金正日が党よりも軍を優先する改革を行なった記念日だ。

昨年は、8月24日にSLBM(潜水艦発弾道ミサイル)を発射している。
9月9日は建国記念日で、昨年はミサイル3発と5回目の核実験を行っている。

このように、平時でも軍事的挑発行為をしてきたが、今年は8月からアメリカとの関係が緊迫していることも踏まえると、何もやらないで終わるということはあり得ないだろう。

CNNがSLBMの発射準備を報じているので、今週末くらいに動きがあるのではないか。

内政が逼迫すると外政に目を向ける。

アメリカの場合、戦争すると支持率が上がる傾向がある。
J.H.Wブッシュ(パパ・ブッシュ)が湾岸戦争を起こしてフセインを駆逐したときには、歴代大統領過去最高の89%の支持率を獲得した。

何一つうまくいっていないトランプ大統領からすれば、先制攻撃という誘惑にかられる可能性はある。

皆、まさかそんなことはしないだろうと思う一方で、過去の歴史を見ると、そういうことは起きてきたし、大義名分もあるので、市場は警戒している。

■9月9日までは下値模索、1万9000円割れも

もともと、ヘッジファンドは7月のピークで12万6000枚という円売りポジションを取っていた。

さらに、4月、5月でフランスのマクロン大統領の誕生で欧州リスクが後退したとして、日本株を約2兆円買っている。

春までは円売り日本株買いを続けてきたが、北朝鮮リスクの高まりで、ポジションを巻き戻し、現在は円買い戻し日本株売りになっている。

以前のように日経平均が1日に数百円落ちないのは、日銀が愚直にETFを買っているからだ。

以前は日銀が下げ幅を大幅に縮めていたが、8月は日銀の買いにぶつける外国人の売りが出てきているため、1万9300円までじりじり下がってきている。

北朝鮮のスケジュールを考えれば、ヘッジファンドはさらに円買い戻しの日本株売りを進めて、まだ日本株が下がる可能性はある。

重要なことは中期トレンドを示す200日移動平均線はあと100円のところで割り込みそうで、これを割ることがあれば、2016年11月以来で、トランプ相場で上がってきたトレンドが変わり、1万9000の大台を割る可能性も十分に出てくる。

9月9日までは下値模索の展開だろう。
最大で1万8500円までは覚悟しておいたほうがいい。

――このままずるずる下がるのでしょうか。
それともアク抜けし戻るのでしょか。

北朝鮮のイベントが落ち着けばリバウンドして、年末には2万0500円程度まで戻る可能性はある。
超短期的に見れば、今の下げ局面で下値を買っておけば、年末や年度末には利食える、2万円に乗ったところで売れるという相場だろう。

しかし、中長期ではお勧めできない。

アベノミクス相場は相当無理しているのでその反動が出る。
2年先を考えると米国のマネーもシュリンクするので、間違いなく大きな調整に入る。

■中期では米国のバランスシート縮小が転機に

――米国の利上げに関してはどう見ていますか

年内はないと見ている。
金融政策で一番重要なのは物価だが、CPIは7月1.7%、PCEコアデフレーターは6月1.5%と年初から下がってきている。

これまでは、「2%に到達する蓋然性が高い」と言ってきたが、直近では「予想以上に2%を割れた水準で推移することが長期化するかもしれない」と言いはじめている。

この見方が出てから市場は利上げの可能性は消えたと見ている。

フェデラルファンドレート先物で、9月は0%。12月は28%の織り込みだ。

BSの縮小は最初は100億ドルと規模が小さいので開始するだろうが、利上げは年内ないだろう。

ドル高観測はFRBの利上げによる内外金利格差拡大からきていたので、それも消えてしまった。

明らかにドル安方向にあり、米国政府も自国通貨安に対して牽制発言をしないで容認している。

――間違いなく調整、というお話も出ましたが、信用サイクルは10年と言われ、来年はリーマンショックから10年です。
超低金利が続き、債務は積み上がり、バブルの感がありますね。

一つの問題は中国だ。
遼寧省の1~6月の名目GDP成長率が前年同期比マイナス20%という数字が出てきたが、党大会までの経済統計は「でっち上げ」で信じられないということだろう。

現在の粗鋼生産は史上最高で2016年の全世界の16億トンのうち8億トンは中国で生産されている。

月間7000万トンという生産量はアメリカの1年の生産に匹敵する。それほどの需要があるわけもなく、需要に見合っていない製造をして、GDPを引き上げている。党大会が終われば実態に近い数字がでてくるのではないか。

もう一つはアメリカのBSの縮小の影響だ。
4.5兆ドルの資産のうち最初の100億ドルの縮小は大きくないが、1年すれば3000億ドルになり、2年すれば6000億ドルと縮小幅が大きくなる。
2年先には1兆ドルもの資金がシュリンクする。
現在の金余りの状態が変化し、株は調整になってくるだろう。
マネー相場の終わりの始まりであり、歴史的な転換になるだろう。

■異常なETF買い、出口を黒田総裁は語るべき

――無理をしてきたアベノミクス、日本銀行の政策の問題は。

ETFの買い入れは一番の問題だ。
世界の中央銀行でこんな異常な政策を行っているのは、日銀だけだ。
こうした異常な政策は長ければ長いほど反動は大きくなる。
現在の日経平均はインチキというよりほかはない。

黒田東彦総裁は600兆円の時価総額に対して年間6兆円の買いはたいしたことはないなどと言っているが、フローをストックと比べるのが間違っている。

比べるなら、GPIFの3.5兆円や事業会社の自社株買い2兆円の年間フローと比べるべきであり、日銀は売らずに買い続ける最大の買い越し投資家だ。

「前場が下がっても、後場は日銀が買ってくれる」と投資家が思っており、日銀の買い入れがマーケットにビルトインされてしまっている異常な状況だ。
これから脱却しなければならない。

日銀は過去二回銀行等保有株の買取りを行ったが、ほとんどを20年近くたっても保有したままだ。

大相場が来ない限りは売ることができず、未来永劫持っていくことになるだろう。

黒田総裁は出口の議論すらしないが、無責任きわまりない。
まずは買い入れの縮小、テーパリングのプログラムを提示しなければならない。

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