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個人の価値を株式のように取引するサービス「VALU」

      2017/10/27


「VALU」の個人価値売買が熱視線を浴びる本質

個人の価値を株式のように取引するサービス「VALU」が、話題に上るようになってきた。ご存じの方も多いだろうが、VALUとは個人が”自分自身の価値”を発行して市場で取引を行うシステムだ。

5月31日に株式会社VALUがサービスを開始したこのシステムは、利用者が増えるに従って少しずつ認知が広がってきている。

VALU発行者がVALUへ登録すると、TwitterやFacebookでの活動やフォロワー数などを評価して時価総額が自動的に評価される。

発行者は時価総額に応じて、自分が発行するVALU(VAという単位でカウントする)数を決めると売り出し価格が決まる。
運営者の審査を通過すれば、VALUは公開株式のように売買が可能になる。

■トレーディングカードのようなもの

株取引に極めて近い枠組みだが、”特定個人の将来”を支援するための仕組みとして作られており、自分ひとりだけでは達成できない夢を実現するための活動資金を集めるマイクロファンディングの一種ともいえよう。

VALUの開発・運営側も「個人が発行するトレーディングカードのようなもの」と説明している。
人気が高まれば高値で交換され、人気がなければ買い手が付かない。なるほど配当などを生まないことを考えれば、トレーディングカードという例えは腑に落ちる。

なぜなら株取引の枠組みと似てはいるものの、株式配当など利益配分の仕組みはないからだ。
支援者への優待制度はあるが義務はなく、支援を受けた側が得た資金で利益を得たとしても支援者がそれを直接的に受け取ることはない。

支援者が得られるのは投資した人物の評価が高まった際、VAの価値上昇によって得られる差益のみである。

VALUの開発において運営者・開発者たちは金融庁などとも合法性を確認しながら、ルールやシステムを整備してきた。

VALUは将来のグローバル展開を狙い特定の通貨に依存しないビットコイン(BTC)を共通する仮想通貨として採用しているが、現時点ではVALUそのものに仮想通貨と各国通貨の交換機能はなく、外部の仮想通貨交換サービスが提供するウォレットサービスを通じてキャッシュのイン/アウトを行う仕組みだ。

■投機目的での利用は禁止

またVALUの運営者は短期的な売買差益を得る投機目的での利用を禁止している。VA売買時、利用者は「投機目的での売買ではない」ことを確認してからでなければ取引できないよう制限が加えられている。

典型的な利用者像がないかと、たまたま見掛けた江本貴明さんという方のVA(https://valu.is/takaakiemoto)を、筆者自身のVAを放出した資金で購入してみた。この方はシンガー・ソングライターで似顔絵アーティストという人物。

具体的に取り組みたい目標を掲げており、優待として似顔絵を描くといった具体案を挙げていること。さらに活動報告を頻繁に行っていることを確認して少量のVAを保有した。

彼のようなアーティストや社会貢献活動に興味のある個人が、まさにVALUの典型的な利用者像といえるだろう。

”何かの目的を達成するために頑張る人”と、その頑張りを支援するフォロワーとの関係が、VALUの購入という形で明確となり、誰がどのぐらい支援してくれているのか可視化されることで、VALUを売り出している側のモチベーション向上といったプラス要素も想像できる。

しかし、一方で利用者の善意に依存している部分もあり、VALUそのものの認知やそれを取り巻くルールが整備されるまでの間、問題が引き起こされるケースも考えられる。

8月18日には、大きな問題が発生し、一般紙も報じたのでご存じの読者は多いはずだ。

8月18日、VALUは一部の利用者が規約違反を起こしたとして取引制限をかけたうえで、売買注文をすべてキャンセルすることを明らかにした(https://help.valu.is/article/71-article)。

名前が出ているヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)はいずれも同じ事務所に所属するユーチューバー。

中でもヒカル氏は、数多くのアクセスを集める人気者だ。

 

本件についての直接的な評価は避けるが、彼らは所属事務所の大株主で、かつて情報商材のネット販売で事業を共にしていた井川氏に多くのVAを安値で譲渡した後、多くのファンが見ているTwitter上でVALUユーザーに対して優待を匂わすツイートを書き込んだと報道されている(現時点では消されており、ヒカル氏は優待を約束したことはないと発言している)。

このツイートを読んだ、あるいはうわさを聞いたファンたちの注文により価格が高騰。ここで井川氏など関係者は、取得していたVAをストップ高で放出した。

ところが翌日になってヒカル氏が突然、全VAを売却に出したうえ、優待を実施する予定はないと発言した。
これによりヒカル氏のVAは暴落。高値でVAを放出した井川氏や事務所仲間はこの間、多くのBTCを得た。
取引履歴を見るかぎり、最大で5000万円相当程度のBTCを得たようだ。

株取引でいうならば、インサイダー取引や風説の流布による価格吊り上げ、あるいは詐欺が疑われるところだ。
しかし、ヒカル氏のユーチューバーとしての収入は、そのフォロワー数などから類推すると年間5000万円前後あると推定される。
本業における売り上げと、本件における評判の低下リスクのバランスを考えるならば、詐欺でお金を集める意図はなかったのかもしれない。

 

■どのように市場の健全性を保っていくのか

しかしながら、そうした状況を考慮することなく冷静に俯瞰(ふかん)するならば、VA販売者は実施されない優待を期待させないことはもちろん、そうしたうわさを耳にした時点で即座に否定すべきであり、また全VA放出直前にインサイダーが大量放出したならば、放出時期を延期するなどの配慮をせねばならなかったはずだ。

運営側も長期にわたって合法性を検討してきた経緯を考えるならば、株取引では明確に違法とされている今回のような疑わしい取引の発生が想定できなかったとはいえない。

本件は売買注文をすべて無効にしたうえで、上記ユーチューバー3人が自VAを買い戻すということで決着したが、取引時のシステム手数料は利用者に戻ってこない。

またVA暴落時に損切りで損害を確定した利用者は、買い戻してもらうべきVAをすでに失っている。

それもこれも「その人物を支援するかどうかを決めるのは自分自身」であることを考えれば、支援者自身の責任ともいえるが、上記4氏の意図がどうであるにせよ、不正取引が疑われる状況において、どのように市場の健全性を保っていくのか。

まだ生まれたばかりのVALUの今後については、VALUへの取材などを通じて継続的に追っていきたい。

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